長生きするとは?老後とは、一体何なのでしょう?

「老いて自立した生活」確かに老後を何不自由なく暮らせる。

心の中に幸福という満足感と達成感という、充実した人生の最終章。

そんな風に生きられれば、介護という言葉も、別の言葉に変化していくのかもしれません。

時々、思うことがあります。

果たして、人間の寿命が長くなることが、ただ、永らえて生きることが幸せなことなのだろうか?

当然、幸せなことには違いないはずなのです。

でも、人が長生きすることによって、苦しむ人がいるという現実。

それは、肉体的にも、精神的にも、老いて自立できない、人が多くなってきている現実がそこにあるからではないでしょうか?

■老いても自立した生活ができる家とは?
欧米の老人介護の姿勢に古くからノーマライゼーションという言葉があります。

老いて介護施設に入るとたちまち病人扱いされ、まさに介護老人となってしまうケースがあります。大勢の老人を抱える施設ではなかなか手が回らず、つい車いすに乗せたままになりがちです。

自力で動き回れる老人であっても、危険もあり、行方不明になる可能性もあってか、ついガードを固くしてしまう療養施設側の事情もあります。

これに対してノーマライゼーションとは、できるだけ自然に、今の家に近い形で大きく環境を変えない姿勢、つまり入院したり、施設に入っても普通の生活ができるようにお年寄りを迎えることです。しかし、実際に遂行するとなるとなかなか難しいものです。

今までなんとか在宅で暮らしていた老人が、つい転んで腰でも痛めてしまうと、その瞬間におおごとです。入院はノーマライゼーションどころか、間違いなく特別の生活です。それでもたとえば骨折が治り、体調が戻りさえすればまた元の生活に戻れます。

私ごとですが、この正月早々に大腸に異変が見つかり、即入院手術になりました。幸いにして早期の切除がうまくいき、皮膚一重のところで転移を避けることができ、あとは傷が癒えるのを待って無事退院となったのですが……。もし、そのまま長い入院となったらと、やりっぱなしの仕事や家のことなどをあれこれ考え、正直、人知れずびくびくしたものです。

長い療養生活や終末ケアのための最近の老人施設や介護施設は、大変良くなりました。人によってはこうした施設に入ることはむしろ、1人で家庭に居るよりも安心で、ホッとできるかもしれません。しかし、そうした施設でも老人たちの日常は我慢の連続で、やはり早く家に帰りたいと思うことが多いようです。実際に私が設計のお手伝いをした老人保健施設などでは、リハビリテーションを積極的に行い、精を出すことで早く元気になり、自宅に帰る方が多くいます。

ノーマライゼーションの考え方は北欧などの老人施設で始まりました。認知症の老人などに対し、今まで自宅で使っていた家具や絵などを持ち込み、普段と変わらぬ環境にして、治療します。たとえば古くから使っていた椅子や食器を置き、1940年代から60年代の音楽を流し、さらに娘や息子たちの、今ではなく幼少の頃の写真を枕元に置く。40~50年前の環境を再現し、過去の記憶から順に現在に近づけていきます。あらかじめお子さんから借りたアルバムを使って徐々に今日までを再現し、最後に今を認識させるのがノーマライゼーションの環境づくりです。

在宅でできればよいのですが、家族も大変で、結局は老人ホームや介護施設へとなってしまいます。何かさらによい方法はないものかと、いつもこうした施設や住宅づくりやリフォームの際に模索しています。いわば自立できる家です。

写真はハワイのハワイ島・ヒロ市にあり、250人ほどの老人をかかえる「ライフケアセンター・オブ・ヒロ」の様子です。ソーシャルサービス・ディレクターのクリス・リドレイさんのご案内で80%が認知症という介護施設を見せていただき、常夏の温暖な気候と自然の中で、そのノーマライゼーションの実際に触れて驚きました。

前回に引き続き、5月20から22日までの東京・台場のビッグサイトで行われる「リジェネレーション・建築再生展」のご案内です。私自身も多くの企業や団体と、健康とエコを考えた「足腰が立たなくなっても“自立”できる自立生活空間」の提案と実演をする予定です。詳しくは私のホームページか、または展示会事務局のサイト(http://www.rrshow.jp/)をご覧ください。無料の入場券も手に入れられるそうです。

在宅で最後まで暮らせる家を考え、次回は「今こそ住まいの“自立”に投資するとき」です。
asahi.com(朝日新聞社)


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